曳家工事
PULLING HOUSE

曳家とは

曳家(ひきや)は家や施設など建物や橋梁などの位置を移動させる技術です。

例えば区画整理に該当した場所に自宅がある場合、ほんの数メートル家が移動すれば解決する事があります。建物を回転させる事で、日当たり問題を解決できます。地盤沈下により傾きが出た場合は、基礎を修正し建物の傾きを修正する事で、建物は長生きできます。

そんな建物の位置に関わるお困りごとを解決する方法が、曳家という工法です。曳家は家を水平や上下に移動したり、回転や傾ける事も可能です。曳家であれば解体をする事なく、移動をする事ができるので、神社や仏閣など、姿をそのままに移動し、大切な歴史的文化財を保存する事ができます。

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曳家の歴史と原理

曳家の原理は「テコ」と「コロ」です。この原理は古代エジプト文明から大きな物の運搬に活用されていた手法だと言われています。日本においては5〜7世紀にこの曳家の工法が活用されたらしく、江戸時代には築城などの際に重量物の運搬を専門に扱う「算段師」という職業があり、明治時代にも曳家専門のグループがいたとされています。

現代の曳家での水平移動手順はこのようになっています。
「建物を持ち上げ、地面から離す」→「地面に運搬レールを敷く」→「運搬レールに建物を載せる」→「建物を引っ張って(曳いて)移動する」→「建物を新たな場所に下ろす」
この手順に加え、「テコ」と「コロ」の原理を進化させ、様々な技術や工具が発達した現在では、建物を高い場所や低い場所に移動させる事、回転させる事、傾きを修正する事も可能です。

テコとコロの原理
建物を持ち上げ、地面から離す
地面に運搬レールを敷く
運搬レールに建物を乗せる
建物を引っ張って(曳いて)移動する
建物を新たな場所に下ろす
建物を高い場所に移動
建物を低い場所に移動
建物の傾きを修正
建物を回転移動

日本の様々な曳家

西岡工業は重量物設置のノウハウをもとに財団法人日本曳家協会に所属しています。曳家協会で行った様々な曳家をご紹介します。どの事例においても生活を空間はそのままに建物の移動ができるのが特徴です。

高い場所へ移動

曳家で水平移動を行う際は家を持ち上げます。これを応用し、繰り返す事で家を数メートル上の高さまで移動させる事ができます。

1階建ての家を2階建てに

1階建ての家を2階の高さまで持ち上げ、1階部分に新たにガレージや部屋を新設。1階建ての家を2階建てに変える事ができます。

低い場所へ移動

「水平に移動→垂直に下降」これを繰り返す事で、数メートル下の地面に家を移動し下ろす事ができます。

回転させ移動

水平、上下の移動だけでなく家を回転させる事もでき、当然ながら回転させて移動する事も可能です。

家を守る

曳家の技術を活用する事で、土地の液状化現象で傾いた家を修正する事や免震装置を設置する事、基礎を修正する事もできます。

綱引きで曳家

市民に愛された建物を移動する際、市民の綱引きの力で移動する、市民参加型イベントを行う事もできます。

曳家の技術で木を移動

ダム建設の為、立ち退かなくてはならなくなった市民に愛されてきた樹齢200〜300年のイチョウの巨木を高台に移動させた事例もあります。

震災で打ち上げられた船を海に戻す

津波で陸へ打ち上げられた重さ65トンの巨大な船を曳家の技術で海に戻した事例があります。

高い場所へ移動
1階建ての家を2階建てに
低い場所へ移動
回転させ移動
家を守る
綱引きで曳家
曳家の技術で木を移動
震災で打ち上げられた船を海に戻す